休日明けの憂鬱な
日曜日の夕方…休日も終わっていく…
学校や仕事がある方は必ず抱く想いの一つではありませんか?
多忙な工場勤めをしてた時の話。
派遣社員としてその工場に勤め出した翌日、早速二人バックれた。
1人は腰が痛いんだって。もう1人は連絡無し。
社員さんが朝礼で話していた。
よくある事らしく、皆、大した反応も無く淡々と話を聞いていた。
今週の納品は~
入ったばかりのオレにはチンプンカンプンの用語や部品の品番混じりの、要するに
今週も頑張りましょう
って朝礼を終えて、ロビーから工場棟に流れ込む人達。
昨日さぁ~
眠っ
昼何食う?
様々に行き交う言葉の粒が集まり、それに個々反応があり、初めは小さかった囁き程度の言葉は、工場棟に着く頃には大きなざわつきにまで成長していた。
そこから各々の部署の扉へと吸い込まれるようにして、ざわつきは静寂を取り戻し、大型の加工機械の待機中のモーター音が
ウーン
と、静寂を引き立てるように唸っていた。
各部署ではそれぞれに細かい連絡事項や流れの確認が行われ、すぐに仕事に取り掛かった。
派遣社員2日目のオレは社員さんの指示を受け、作業台の上に並べられた製品に保護膜を塗る作業を延々と、淡々と、粛々と始めた。
こんな感じで始めた派遣社員も二ヶ月を過ぎた辺りで、割と大事な仕事にも関わりを持たせて貰うようになっていた。
オレくん、工場長が呼んでるから事務所来てだって
そう言って内線の受話器を置いたのは主任さん。 30代後半、未婚の若ハゲだが、凄く優しい人。エンタの神様好き。
わかりました。
いってきます。
そう言って工場棟から小走りに事務所に向かうと、
お疲れさん、会議室に行こうか。
と、工場長。ロマンスグレーの髪、色黒な肌をした体育会系瞬間湯沸かし器な人。
毎日頑張ってくれてるみたいだね~
ウチの社員にならないか?
突然のスカウトに驚きながらも快諾しました。
どうやら、朝早く来て、就業前に段取りをしていたオレを見ていたらしい。
朝早く来てるのは遅刻したくないのと、喫煙所のベストスペースを確保する為と、残業したくないからなのに。
工場長のおかしな勘違いがオレを真面目だと認定し、結果良い方向に転んだラッキーな展開だった。
が、しかし…
確かに真面目に頑張ったが、根がクズなオレの化けの皮は剥がれ、なおかつ、残業嫌いなオレは自分に与えられた仕事を早々に片付け、回りのヘルプをした上で、定時退社を繰り返していた。
同じ部署の人間は真面目な人も多かったが、中には朝は遅刻ギリギリに来て、午前中はだりぃ、ねみぃを口癖とし、午後からやっと動き出して、残業代を稼ぎたがる人達もいた。
そんな人達に、どーしても足並みを揃えられなかったオレは次第に、工場長にロックオンされていくんだ。
残業する事が美徳みたいな工場で、遅くまで残る人程、仕事が出来る。という訳の分からない考え方の工場長は日中の体たらくなんて知らずに、タイムカードを見て仕事の真面目さを判断していた。
目をかけて貰って入社したのに、逆に目を付けられる存在になったオレに対する風当たりは強く、みんなの前で工場長から罵倒される事もあった。
次第に出社がおっくうになり、朝普段通り家を出ても、工場の近くに車を停め、携帯で世の中の自分と同じ思いをしてる人達の体験談などを読み漁り、奮起しながら会社に向かっていた。
会社に近づくと工場長の顔が思い浮かび、嗚咽する事もしばしばあった。
勤め出してから三年目だった。
工場長と本社の社長が揉めてるらしい
そんな噂が流れだした頃には事態は最悪な事になっており、社長は工場長を解雇し、工場長派の人間もリストラ対象になり、工場長の推薦で入社したオレも突然の解雇予告を食らった。
会議室に呼ばれ、次期工場長内定の人に
一ヶ月後に解雇します。会社都合にしますし、退職金も出します。
有給を消化してもいいですし、有給を買い上げてもいいです。
と、言うので
有給を消化します。
有給消化後は欠勤でお願いします。
と、言い残し会社を後にした。
工場長から開放された安堵と解雇された怒りと将来の不安が入り交じったまま、嫁にメールを打った。
嫁は
仕方が無いよ、失業保険貰いながらゆっくり探しな
と、優しいメールを返してくれた。
しかし、精神的にダメージを食らって鬱状態のまま、体を酷使していたオレは失業保険期間をほぼ寝て過ごす事になり、失業保険期間内に仕事は決まらず、日雇いの仕事をスポット的にしながら、精神科に通ったり、寝たきりを繰り返したりする事になる。
鬱、精神科の話はまた後ほど。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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